くさび式足場のタイプについて

くさび式足場について

足場 販売

くさび式足場(ビケ足場)とは、緊結部を一定間隔で備えた鋼管を支柱にして、手摺や筋交などを支柱の緊結部にくさびで緊結し、踏板を作業床とした足場を架けます。
そして、それらの組み立てをハンマー1本で作業できるようになっています。
低層住宅の現場で使う足場に使用されていましたが、近年では、中高層建築の外壁の塗り替えなどの短期間の補修で使われるようにもなってきました。

くさび式足場のメリット

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くさび式足場のメリットは低コストであることと資材の種類が豊富であることです。

低コスト

くさび式足場はハンマー1本で組み立てることができ、レッカー車などを使わなくても人力だけで組み立てることができます。そのため組み立てに要する時間が枠組足場と比べて短く済みます。
枠組足場は中高層建築で使用することが前提の足場であるため、使う資材が重く、レッカー車やクレーン車が必要になりますが、くさび式足場は地上から45mの建物(ビル13階~15階に相当)まであれば、必要ありません。

資材の種類が豊富

一つ一つの資材が枠組足場よりも小さめなので、小回りがきき、複雑な構造の建物や狭い通路でも対応可能です。

くさび式足場の種類

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くさび式足場には、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

Aタイプ

Aタイプは「キャッチャータイプ」とも呼ばれます。支柱のコマのピッチが450mmであり、踏板は4ピッチに1層を設けるため、その高さが450mm✕4で1800mmとなります。

Aタイプの特長として製造会社が多いことがあります。資材の製造会社が多く、会社が異なっていても互換性があることから、資材を揃えやすく、また一つの会社で揃えなくても良いために価格重視で発注ができ、資材の発注や納品や返品の日程も柔軟性が増します。
そのため流通量も多く、ホームセンターで取り扱っている場合もあります。

また、他のタイプと比較して、緊結箇所が少なくクサビの打ち込み・抜きをしなければならない場所が少なく住むため、足場の組み立てと解体が早いことも特長です。
信和「キャッチャーA」、平和技研「ビルダー」、ホリー「サスコム450A」、光洋機械産業 「モノシステム」、ユハラ産業「スーパーマイキット」、KRH「KRH SYSTEM」などが主なメーカーと製品になります。

Bタイプ

国内で初めてのくさび式足場で、株式会社ダイサンが開発しました。株式会社ダイサンの商品名が「ビケ足場」で、その名前が普及し、他社のBタイプのものも「ビケタイプ」と呼ばれることがあります。
Bタイプは支柱のコマのピッチが475mmで、4ピッチごとに1層の踏板を設置するため、高さが1900mmとなります。

Bタイプの特長は、くさび式足場の他のタイプと比較して横揺れが少ないことです。その理由は緊結箇所が多く、踏板やブラケットにはクサビがついているからです。しかしその分、クサビの打ち込みや抜きの作業が多くなり、他のタイプと比べると手間がかかり、足場の組み立てと解体に時間がかかります。

また、支柱の長さやコマのピッチが異なり、ブラケットにはコマがついていて、踏板にはクサビがついているので、AタイプやCタイプと互換性がありません。

また、Aタイプと比べて割高です。

主な製造会社と商標名は、ダイサン「ビケ足場」、信和「キャッチャーB」、平和技研「ビルダーα」、ホリー「サスコム475B」、住金「ビテイフォールド」などになります。

Cタイプ

Cタイプは三共の「セブン足場」が有名なため、「三共タイプ」とも呼ばれています。
Cタイプはクサビが平べったく、支柱などのコマもその平べったいクサビに合わせた形をしています。他のタイプとの資材の互換性については、Aタイプの踏板は互換性がありますが、支柱、手摺、ブラケットは、クサビの形により互換性がありません。

Cタイプのメリットは、他のタイプと比較して資材が軽いことです。これにより施工が早くなります。
Cタイプのデメリットとしては、クサビが平べったいため横揺れが大きいことと、AタイプやBタイプと比べて流通量が少なく手に入りにくいことがあげられます。

主な製造会社と商標名は以下のとおりです。
三共「セブン足場」、信和「キャッチャーC」

Aタイプ・Bタイプ・Cタイプの部材は共用できるの?

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AタイプとBタイプとCタイプの足場部材はそれぞれ専用に設計されており、共用を想定していません。そのため、基本的には共用はできないですが、一部分では使用可能な資材もあります。

Aタイプでは、Cタイプと支柱のコマのピッチが同じであるため、Cタイプの階段、固定ジャッキ、自在ジャッキ、壁当てジャッキ(ジャッキホルダーは不可)、アンダーベースが使用可能です。Bタイプの部材とは共用できるものがありません。

Bタイプは支柱のコマのピッチが475mmであり、450mmであるA・Cと異なります。そのためAタイプやCタイプの部材で使用できるものはありません。

Cタイプでは、Aタイプと支柱のコマのピッチが同じなので、Aタイプの階段、固定ジャッキ、自在ジャッキ、壁当てジャッキ(ジャッキホルダーは不可)、アンダーベースは使用可能です。Aタイプの踏板は使用はできますが、Cタイプの踏板と混在すると綺麗に揃いません。
またBタイプの部材とは共有できるものがありません。

おすすめのタイプはなにか?

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新規にクサビ式足場を購入する場合は、Aタイプがよいでしょう。
Aタイプは製造会社が多く流通量も多くて安く手に入りますし、購入するにせよレンタルするにせよ在庫が多いので様々な形状の部材を取り揃えやすいです。元々くさび式足場は小規模の複雑な形状の建築に適した足場ですので、小回りの良さが売り物であり、様々な資材が手に入ることやその入手タイミングや返却タイミングに融通が利くことは、小規模な現場に対応するときに大切な要素となるでしょう。
緊結箇所が少なく足場の組立と解体が早いことも現場のフレキシブルさを維持するために大切な要素でしょう。もちろん緊結箇所が少ないということはそのぶん横揺れが発生しやすいということであり、それがデメリットとなることもあると考えられますので、これは現場の種類や工事の種類などを考慮しながら決めることとなります。

また、Bタイプも、こだわり職人の定番としておすすめできます。
B タイプは A タイプに比べると流通量が少なくまた組立と解体に手間がかかりますが、その分横揺れに強く、また支柱のコマのピッチの関係上、踏板から踏板までの高さがAタイプよりも100mm高く1900mmになります。1800mmは日本人の平均身長よりは上ですが、背の高い職人も多いですし、靴やヘルメットなどを考慮すると1800mmだと少し腰をかがめる姿勢を要求されることが多くなります。それに対し1900mmだとそのような事がかなり減りますので、この100mmの差は大きいです。
このようなことから、Bタイプは、Aタイプと比べて劣っているというよりも、こだわりタイプの職人の定番だと言うように言えます。今までビケ足場として普及していますので、足場資材を全く新規に揃えるのではなく、既存の資材との共通性を考えなければならない場合、共通性を無視してAタイプに変えるよりも、Bタイプを使い続けた方が良いでしょう。

Cタイプは、生産量も流通量も少なくAタイプやBタイプと比べて資材が軽いというメリットはあるものの、他のタイプを差し置いて使用するほどのメリットはありません。
AタイプまたはBタイプにしたほうが良いでしょう。